コンテンツ制作ブログ

デジタルマーケティング、コンテンツマーケティング、
データ分析などに関するお役立ち情報を発信

受託制作・開発会社のためのサービスページ拡充によるマーケティング施策

オウンドメディアでノウハウ記事やコラムをたくさん公開して、アクセス数やお問い合わせは増えているのに、思ったほど受注に結びつかない──。
BtoBビジネスをやっていると、こういう「アクセスはあるのに受注が伸びない」ギャップを感じたこと、ありませんか?

「読み物」だけでは購入から遠い人が集まる

まず大前提として、ノウハウをまとめた読み物を充実させることは決して間違いではありません。検索キーワードを狙いやすく、ニーズが明確になっていない潜在層を呼び寄せるには非常に効果的だからです。長期的には、これらの潜在層に対して資料請求やオンラインセミナーなどを提案してリード化し、MA(マーケティングオートメーション)などで商談につなげていけば大きな成果が見込めます。

ところが、“すぐに依頼したい”と考えている顕在層(明確なニーズがある層)に対しては、ノウハウ記事だけでは不十分なことが多いです。なぜなら、「実際に何を頼めるのか」「どれくらいの費用なのか」といった具体的な情報が見当たらないと、問い合わせ前の段階で離脱してしまう可能性が高いためです。

オウンドメディアのアクセスが増えていっても、リードや受注に繋がりにくいという課題意識を持っている方は多いのではないでしょうか。

受注を伸ばすためには「サービスページ」が重要

こうした課題を解決するカギになるのが、「サービスページ」をしっかり追加・整備することなんです。
サービスページとは、その名のとおり「どんなサービスを、どんな流れで、どれくらいの費用感で提供しているか」をまとめたページのこと。課題がはっきりしているお客様ほど、このページを見た瞬間に「この会社なら自分の課題を解決できそうだ」と直感しやすくなります。

サービスページに入れるべき主な情報

サービスの説明をわかりやすくして「お願いしたい」と思ってもらうには、以下の要素を網羅しておくと安心です。

  1. 対応できる課題の一覧
    • たとえば「こんなお悩みをお持ちの方におすすめです」という形でまとめましょう
  2. 提供する具体的な作業・開発範囲
    • どんな作業に対応するのか、具体的にイメージできるようにします
  3. 料金の目安
    • 受託業務の場合は案件の内容で幅があるため、ざっくりでもOK。金額が書かれていないと、「どのくらいの費用なんだろう…」と不安になってしまい問い合わせしなくなる人もいると考えています。また、先に問い合わせだけしてもらって、商談時にようやく料金を伝えるというやり方は、ミスマッチが増えがちです。
  4. 業務の流れと納期イメージ
    • よくある業務の流れとステップごとにかかる時間を説明
  5. 過去の実績・導入事例
    • できればクライアントの声や成果がわかるエピソード付きで
  6. よくある質問(FAQ)
    • 問い合わせ前に疑問を解消することで商談がスムーズになる
  7. 問い合わせ・無料見積もりの案内
    • 「こちらからお問い合わせください」と明確に設置しておく

できる限り詳しく丁寧に説明することで、問い合わせしたあとにどう進んでいくのかをお客様がイメージしやすくなります。

少ないアクセスでも高い受注率を生む

たとえば、私たちがニッチな領域のサービスページを追加すると、アクセス数自体はそれほど増えないことが多いです。しかし、そこから来る問い合わせはすでに課題感が明確なお客様が中心だったため、受注率が高く、商談もスピーディーに進みます。

さらに、一度完成度の高いサービスページを作ってしまえば、読み物ほど頻繁に更新しなくても、安定的に問い合わせを生み出し続ける“資産”として機能します。忙しくて追加コンテンツの公開や過去コンテンツのメンテナンスができない時期でも、最低限のリードは確保できるのがありがたいところです。

お客様からの新規要望を定期的にサービス化

サイトエンジンでは、サービスメニューとして掲げていないにもかかわらず、お客様からご相談いただいて実際に対応した内容を少しずつサービスページ化しています。2~3社程度から似たような相談を受け、かつ自社で対応できるものであれば、都度新しいサービスとして説明用のページをつくります。
お客様の要望や質問などから「これって新たなサービスとしてまとめられるのでは?」となって、サービスページを作成していく流れです。

たとえばサイトエンジンはコンテンツマーケティングを目的とした記事の制作をたくさん受注している会社なのですが、ある時お客様からホワイトペーパーを作れないかを立て続けに相談いただくタイミングがありました。いくつかご相談いただいた内容をよくある課題として抽象化し、自社でできることとあわせて専用のサービスページに落とし込みました。

ページ公開時点ではまだ類似のページを用意している会社は少なかったため、すぐに検索エンジンで上位になり、「このページを見て相談しようと思いました」という問い合わせが入り始めました。アクセス数自体は小さいのですが、来る問い合わせはほとんどが「すでに導入を前向きに検討している」層で、受注率も高くなりました。

サービスページを作る流れ

ここでは、多くの企業で一般的に行われている「サービスページを作成するまでのステップ」をご紹介します。まずはシンプルにページを作り、反応を見ながら徐々にブラッシュアップしていくのがおすすめです。

1. ニーズを把握

まずはお客様がどんな課題を抱えているのかを把握することが重要です。

  • ヒアリングやアンケート
    • 営業担当者やサポート担当者、既存のお客様へのインタビューを実施し、「どのような問題を解決したいのか」「どのレベルの費用感・納期感を想定しているのか」をリサーチします。
  • 問い合わせ履歴やWebアクセス解析の活用
    • 過去の問い合わせ内容・サポート履歴を洗い出すと、よくある質問や要望が見えてきます。
    • 自社サイトのアクセス解析(例:Google Analytics)を見れば、どんなキーワードで来訪しているのかがわかり、ユーザーの興味関心を具体的に掴めます。
  • お客様の“実際の声”を収集する
    • BtoBとはいえ、業種によっては専門用語が通じないケースがあります。初心者にも通じる言葉をリストアップしておくと、後のコンテンツ作りが楽になります。

2. 簡易的なページを既存のデザインテンプレートを活用してつくる

ニーズをある程度把握したら、まずは既存のデザインテンプレートを使って簡易的なサービスページを作り、素早く公開してみましょう。

  • MVP(Minimum Viable Product)的な考え方
    • 完璧なページをいきなり作ろうとせず、最低限の情報(サービス概要・料金目安・問い合わせフォームなど)だけでも先に公開して、ユーザーの反応を確認するのがポイントです。
  • 社内リソースを節約
    • 新規デザインをゼロから作るより、既存テンプレートを流用したほうが工数が大幅に削減できます。
  • 必要最低限の要素を押さえる
    • 「どんな課題を解決できるのか」「どんな作業範囲なのか」「料金・期間の目安はどれくらいか」、そして「問い合わせの導線(フォームや連絡先)」は、この初期段階で必ず入れておきましょう。
  • 初心者が多い場合は専門用語に注意
    • あなたにとっては当たり前でも、お客様には通じない専門用語があるかもしれません。できるだけ誰にでも理解できるような書き方を意識したほうが、読了率や成約率が高くなる傾向があります。難しいと思わないような内容を書きましょう。
  • 公開前に重要なFAQを追加
    • 特に多くの問い合わせが予想される質問(料金体系や納期、作業範囲の制限など)は、最初の段階からFAQに入れておくと、問い合わせ数が増えても“質の高い”相談が来やすいです。

3. アクセス数や問い合わせ数からニーズの量を確認

ページを公開したら、アクセス解析ツールや問い合わせ数の推移をチェックして、実際のニーズや反応を見極めます。

  • 定量的な指標をチェック
    • アクセス数、成約率、ページ滞在時間、直帰率などを追いかけながら、どの程度のユーザーが興味を持ってページを閲覧しているのかを確認します。
  • 問い合わせ内容の質を分析
    • 問い合わせが少なくても最初の商談から具体的な話をするお客様がいる場合は高確度のニーズがある証拠。逆に、問い合わせ数だけ多くて具体性がない場合には、サービスページで対象にするニーズをもっと絞り込む必要があるかもしれません。
  • 担当チームとの共有
    • 問い合わせ後のやり取りをする営業担当が電話やメールでやり取りした内容から「どんな問い合わせが多いのか?」を定期的に全体に情報共有してもらい、ページの改善点を探ります。
  • アクセスの規模を意識しすぎない
    • BtoBサイトの場合、アクセス数が少なくてもちゃんと問い合わせにつながっていれば、そこから大きな成果を得られる可能性は十分にあります。
  • 早めに数値を可視化
    • 自社のKPI(Key Performance Indicators)をどこに置くか(たとえば「月●件の問い合わせ」「●%の商談率」など)を決めておくと、改善の方向性をチーム全体で共有しやすくなります。

4. ページの要素を追記、デザインの作り込み・専用ランディングページの制作

アクセスや問い合わせのデータをもとに、本当にニーズがあることが分かったら、継続してページをブラッシュアップします。必要に応じて別のランディングページを作り直すこともあります。

  • 専用ランディングページ(LP)の制作
    • 汎用的なテンプレートよりも、独自デザインのLPを作ることで、「自社サービスらしさ」「強みやユニークポイント」をより強く訴求できます。また、広告を出すときにもメニューなどの要素を削った専用のデザインにすることで成約率を高めることができます。
  • 事例紹介・具体的な実績の追加
    • サービスを販売した際には、必ずロゴ掲載と導入事例ページのための取材の可否についてお客様に聞く習慣をつけましょう。BtoBのお客様は他社事例を重視することが多いので、導入事例・数字で示せる実績・お客様の声などを盛り込み、信頼感を高める工夫をすると成約率が上がっていきます。
  • 要望が増えるほど情報を追加する
    • 「少しずつページが長くなりすぎる…」と感じた場合は、特定の質問への回答を詳しく解説する別ページをつくったり、アコーディオンメニューを使ったりして、読みやすさを保つ工夫も大切です。
  • 別のコンバージョンポイントも用意
    • サービスに強いニーズがある場合には、ホワイトペーパーや営業資料のダウンロード、ウェビナー参加などお問い合わせ以外のコンバージョンポイントを増やすことがあります。

社内連携で自然とニーズ情報が集まるようにする

サービスページは「作って終わり」ではありません。最新のお客様ニーズや業界動向を反映し続けることで、広告費をかけなくても持続的に問い合わせを生むページに育ちます。

サイトエンジンでは、営業・マーケティングのメンバーが毎朝15分ほどミーティングし、前日に判明した新たなお客様の要望や質問を共有しています。AIツールを使って会議を自動で議事録化しており、マーケティング担当がそこからサービスページの課題部分やFAQ部分の改善点をピックアップするという流れです。
要望や質問をまとめておくと、商談前後でお客様から質問いただいた際に営業担当がすぐに回答できるようになるという副次的な効果もあります。

【まとめ】読み物とサービスページをうまく組み合わせて、受注率アップを目指そう

ノウハウ記事・コラムなどの「読み物」は、潜在層を広く集めるうえで絶大な効果を発揮します。ただ、「もう課題が分かっているから具体的な相談をしたい」という顕在層には、何をどう頼めるのかがはっきり見えるサービスページが効果的です。

もし「記事数は増えているのに、なかなか受注にはつながらない…」とお悩みなら、まずはサービスページを追加するもしくは見直すのがおすすめです。以下のポイントからチェックしてみてください。

  • 既存ページに最新の要望や事例が反映されているか
  • よく提供しているサービスについて、それぞれ独立したページが存在しているか
  • データを元に改善を続けているか
  • サービスページと読み物ページの役割分担とリソース配分を意識できているか

サイトエンジンでも、サービスページを増やし続けていますが、「アクセスが少ないページでも問い合わせ率が高く受注に繋がりやすいため事業成長に貢献している」という現象を何度も確認しています。自社のリソース状況に合わせて、読み物の公開ペースを緩めてサービスページの充実に時間や予算を配分するなど、状況に応じたバランス調整を検討してみてはいかがでしょうか。

サイトエンジン編集部

この記事を書いた人

サイトエンジン編集部

かくたまライターたちより、コンテンツ制作に役立つテーマでお届けします。

CONTACT

お問い合わせ