「Webサイトからのリード獲得数を増やしたい」「WebサイトのCVR(コンバージョン率)を改善したい」とお悩みの企業は多くいらっしゃいます。2023年4月26日、コンテンツマーケティングを得意とするサイトエンジンと、1,000件を超えるLP(ランディングページ)の制作実績を持つfree web hopeがオンラインセミナーを共催し、Web集客のノウハウについて事例を交えてお伝えしました。セミナーの最後には、熱心な参加者の皆様から数多くの質問が寄せられ、大変有意義なセミナーとなりました。今回はセミナーの内容をレポートでお伝えします。
登壇者紹介
サイトエンジン株式会社 デジタルマーケティング事業本部 荒井 皓平(あらい こうへい)
オウンドメディア構築・運営とコンテンツ制作を経験しサイトエンジンに入社。 入社後はコンテンツ制作やディレクション、効果検証など、コンテンツマーケティングに幅広く携わる。 現在は月に20本のセミナー運営と10本の登壇経験から、データに基づいた科学的アプローチで集客や売上アップにつながるコンテンツマーケティングを広めている。
サイトエンジンについて
「自己表現にテクノロジーとアイデアを」という経営理念に基づき、あらゆる企業のコンテンツ制作・デジタルマーケティングに関するコンサルティングを行う。そのノウハウの蓄積を活かし、2021年よりデジタル人材の採用見極めや教育支援のためのSaaSを提供スタートした。お客様企業が将来内製化できるように支援しつつ、月間800~1,000記事ものコンテンツ制作や分析を行っている。
株式会社free web hope Planner / Copywriter / Director ⾦ 隆宏(キン・リュンゲン)
1986年5⽉7⽇⽣まれ。神奈川県座間市出⾝。忌野清志郎の下っ端マネージャーとして社会⼈スタート。その後約7年間、住宅会社向けのマーケティング⽀援を⾏う企業でコンサルタントとして活動。2019年にfreewebhopeに⼊社し、プランナー・コピーライター・ディレクターとして活動中。近年は広告運⽤にも携わり、LPと広告の両観点からWEB広告のプランニングを行っている。
free web hopeについて
2011年9月に設立。メディアプロモーション事業、インターネット広告事業、
Webサイトの制作・運営事業、オンラインスクール事業の企画・開発・運営を行う。
第1部:コンテンツを駆使してWebサイトからリードを獲得する方法(サイトエンジン)
Webサイトからのリード獲得の流れ
サイトエンジン 荒井(以下、荒井):
まず、Webサイト経由で集客を行い、リード獲得に至るまでの流れを説明します。
SEO、MEO(※1)などの集客施策を行い、Webサイトに訪れていただくのがリード獲得の第一歩です。
(※1)MEO:マップ検索エンジン最適化。主にGoogleマップの地図検索で上位表示を目指す施策のこと。
しかし、サイトに訪れた全員のユーザーがリードとなるわけではありません。より多くのリードを獲得するためには、ユーザーの興味を惹くようなコンテンツを用意することが重要です。
「コンテンツ」とは、コラム記事やFAQなどのことで、Webサイトの1ページ1ページをイメージすると分かりやすいです。
コンテンツによって訪れたユーザーの興味を増幅させることで、問合せや資料請求、トライアル申し込みといったコンバージョン(以下、CV)に至ります。
今回は、Webサイトからのリード獲得の流れの中でも、この「コンテンツ」について焦点を当てて説明します。
コンテンツ更新頻度を上げられない理由
荒井:
ここで、昨年弊社が行ったアンケート調査結果を紹介します。調査対象は、既にコンテンツマーケティングを実施している企業192社のマーケティング担当者です。
「コンテンツの更新頻度を上げられると思いますか?」という質問に対しては、ToB・ToC 問わず約8割の企業が「もっと更新頻度を上げられると思う」と回答しました。
更新頻度を上げられない理由を尋ねたところ「時間が足りない」「コンテンツを作成できる人が足りない」「記事のネタがない」「お金が足りない」などの理由が挙がりました。
そこで、時間やノウハウが少ない場合でも、効率的にコンテンツを作成する方法を紹介します。
コンテンツ作成・改善の優先順位
荒井:
これからコンテンツを作成・改善していくときに、どこから手を付けたらよいか悩むこともあるかと思います。弊社では以下の3つの軸でコンテンツテーマを考えることをおすすめしています。
1つ目の軸が「CVに貢献するか」、2つ目が「集客に貢献するか」、3つ目が「自社がやる意義や強みと合致するか」です。
この3つの中でもまずは、「自社がやる意義や強みと合致するコンテンツ」を優先します。競合他社も同じようなキーワード・テーマでコンテンツを作っていることが多いため、独自性のあるコンテンツを作って差別化することが重要であるからです。
弊社が支援する場合は社内のヒアリングを行ったり、競合他社を調査したりするなどして強みとなるコンテンツを企画・提案しています。しかし、コンテンツマーケティングにこれから取り組む方がテーマを考えるのは難しいかもしれません。
ある程度色々な企業に適用できるテーマの例を以下に挙げます。
自社がやる意義や強みと合致するコンテンツテーマの例
荒井:
実際にお客様と話をしないと分からないことや、営業やCSにインタビューやアンケートを行って分かったことをテーマとしてコンテンツを作っていくと、自然と一次情報が含まれるコンテンツになります。
特に作りやすくおすすめなコンテンツは「お客様からよく聞かれること」です。ある程度ニーズがあることが分かっているし、自社のことをアピールしやすいからです。
例えば、弊社へよく寄せられる質問は以下のようなものがあります。
こういった質問に対して回答する形でコンテンツを作ります。一問一答形式でもよいですし、1つの質問に対して5,000文字ほどの文章を書いて、コラム記事のようにしてもよいと思います。
ただし業種や商材、今のサイトの状態によって適・不適がありますので、詳しいことは弊社にお尋ねいただければと思います。
CV・集客に貢献するコンテンツの優先順位
荒井:
残りの2つの軸に所属するコンテンツ(CVに貢献、集客に貢献)の優先順位のつけ方について説明します。
上の図は、横軸に「CVに貢献するか、集客に貢献するか」、縦軸に「ストックかフローか(時事性が高いか)」を設定し、コンテンツの特徴を表したものです。
既存のコンテンツがある場合は、上のような形でマッピングし、整理するとよいです。
この図のうち、「CVに貢献していて、かつストックである」コンテンツから作成・改善することをおすすめします。
いくらアクセス数が増えても、CVにつながらなければ、成約を逃してしまうからです。まずは土台としてCVに貢献するコンテンツを作成しましょう。
継続を意識してコンテンツマーケティングを成功させる
荒井:
コンテンツマーケティングに取り組む企業に、コンテンツの更新頻度について質問したところ「週2~4回」が最多でした。企業の8割程度は、最低でも週1回以上コンテンツを更新しています。
コンテンツマーケティングを成功させるには、継続的にコンテンツを投稿し、得られた反応を基に改善を行っていくことが重要です。
効果測定や改善まで手が回らなかったり、外部会社とのやり取りなどにリソースが割かれてしまい改善のサイクルを作れていなかったりする企業が多くあります。コンテンツマーケティングは基本的にやりっぱなしでは成果が出ない、改善までがセットの施策だと考え、ぜひ効果測定と改善に目を向けてください。
また、作成したコンテンツを色々な形に変えて活用する「横展開」も有効です。
例えば記事コンテンツを作成したら、要約してSNSやメルマガでお役立ち情報として発信したり、情報を付け加えてホワイトペーパーにしたり、動画にしてYoutubeにアップしたり、セミナー資料として活用したりすることもできます。流入経路が増えるだけでなく、SEOにも効果があります。Googleで検索したときに上位表示されるのがSNSの投稿やYoutube動画であることも増えているからです。サイトエンジンでは、この横展開をすべてお手伝いできますのでご相談ください。
第2部:目標CV147%超 売れたランディングページの裏側を解説
free web hope 金(以下、金):
他社の広告物のキャッチコピーやデザインを見て「なんとなくいいな」と思うことはありませんか?今回、この「なんとなくいいと感じる理由」をお伝えします。LPに限らずどんな成功事例にも、成果を出すための目に見えない工夫が必ず存在します。
LP制作事例
弊社は、Squad beyond(スクワッドビヨンド)という製品のLP制作と広告運用を担当しました。Squad beyondは、Webマーケティングに必要な機能が網羅されているマーケティングツールです。
制作当初に掲げていたKPIはCV数36件/月、CPA15,000円以下でした。それに対し、最終的な成果としてはCV53件、CPA9,562円を達成できました。
実際のLPはこちらからご覧ください。
また弊社では、制作過程と広告の成果をWeb上に全公開する企画「【ノンフィクション】LPに鬼強い会社って、本当にLPに鬼強いの?〜制作編〜」を実施しました。基礎的なLPの制作方法をお伝えしていますので、ぜひ記事をお読みください。
見えない工夫①需要と供給のバランスを考えてポジションを取る
金:
ビジネスで成果を出すための鉄則は「需要があって供給者が少ないポジションをいかに取るか」です。上の事例でご紹介したSquad beyondというSaaSツールは、商品設計がよくできており「需要があって供給が少ない」ポジションを元々取れています。
一般的には、製品のLPを作る際、競争優位性のある「目玉機能」を軸に訴求していく手法をよく取ります。しかしSquad beyondの場合、複数のツールを横断する必要のないオールインワンツールであることを広告でしっかり表現する必要がありました。
見えない工夫②「企業がアピールしたいことと」×「ユーザーが求めること」の重なりを訴求する
金:
LPでは、ファーストビューで成果が9割決まるとされています。そのためファーストビューの設計は最も重要なポイントです。企業がアピールしたいことと、ユーザーが求めていることの重なりの部分をLPで訴求する必要があります。
上図の右部分にあるコピーは、100以上出したキャッチコピー案の中でボツになったものです。ボツになった理由は、企業のアピールしたいことは含まれていても、ユーザーが求めていることが決定的に欠けているからです。
市場の人がSquad beyondを知っているわけではないので、商品力が強いことばかりをアピールしてもユーザーには伝わりません。他にない製品であることをアピールしつつも、ユーザーの求めるものを訴求しましょう。
ただし一部例外として、例えばiPhoneのように市場に広く認知されておりファンが多い製品では、企業が伝えたいことのアピールだけでCVが成立します。
弊社では上図のように、広告アカウントの分析とユーザーインサイト(※2)分析を行い、LPを制作しています。ただ数字を見るのではなく、その先の人間が何を考えているのかを考えながら制作することを重視しています。
(※2)ユーザーインサイト:ユーザーの行動の背景にある心理や潜在ニーズを理解すること
成果を出すための鉄則「ツカミはOK」
金:
Squad beyondのファーストビューは、最終的に以下のような形にしました。
この事例では、Facebook広告を出すことが決まっていました。SNSを見ているユーザーは、能動的に悩み事を解決しようとするのではなく、ボーっと眺めている状態です。そういう方々に広告を見てもらいCVさせるためには、LPに流入した瞬間に注意を惹き、問題解決意欲を最大限に高める必要があります。
そこで、ツールやブラウザを横断しなくてよいというメリットを訴求し、さらに「勝ちパターン」という言葉を入れて成果が出るイメージを想起させました。また、マーケターの根源欲求である「成功パターンの把握」も想起させるものに仕上げました。
LPの成果はファーストビューで9割決まります。そのため3秒以内にユーザーを掴めなければ離脱すると考える必要があります。「ツカミはOK」という状態を目指すのが鉄則です。
「LPの文章は長い方がよいか、短い方がよいか」という質問をよくいただきます。結論としては、ユーザーが面白いと感じればどちらでも構いません(ただし、配信媒体とターゲットによって適切な長さは変わります)。「つまらないものが悪」と考えると設計しやすいです。
見えない工夫その③言葉のリズムのチカラを使う
金:
「ホップステップジャンプ」「見ざる聞かざる言わざる」など、リズム感のよい言葉は、記憶を定着させる力があります。ユダヤ人は記憶を定着させるためにリズムに合わせて体を揺らしながら勉強するという話もあるほどです。
リズム感がよく、気持ちよく読めるようなコピーが効果的です。また、ユーザーは見出しの大きい文字しか読まないことが多いので、見出しだけを読んでも意味が成立するように設計するとよいです。
Squad beyondのWebサイトでは、「わかる つくれる たまる」という言葉を使っています。これは「見ざる聞かざる言わざる」という馴染みのある言葉と似たリズムを持っており、ユーザーの意識を奪いやすくなっています。
見えない工夫④買うべき理由に気づかせる
人間というものは、理由がないものは信用できず、共感・感動・納得もできない生き物です。CVできるLPを作るには「どうしてあなたからこの商品を買わなければいけないのか?」という理由に気づかせてあげる必要があります。
人は言葉に支配されている
言語学の理論である「サピア=ウォーフの仮説」では、使用する言語によって思考が影響を受けるとされています。
LPを制作する際には、
・需要>供給のバランスはよいか
・ツカミはOKか
・「人は理由に共感・感動・納得」が成立しているか
という観点でチェックすると、精度の高いLPが作れるようになります。
お困りのことがあれば、ぜひ以下からご連絡ください。
Twitter https://twitter.com/kim_ryunggeng
メール kim@fwh.co.jp
第3部 質疑応答
用語集のコンテンツを改善したいと考えています。しかし用語集はあくまでもセッション稼ぎでCVにつながっていないため、優先順位は低いと考えてよいでしょうか?
荒井:
WebサイトのゴールであるCVに近いコンテンツから作るという考え方は合っています。しかし質問者様のように、セッションが稼げるコンテンツをお持ちの場合、そこからどうCVしやすいコンテンツへ遷移させるかが重要です。一番わかりやすい方法としては、用語集に内部リンクを入れて、CVしやすいコンテンツに遷移させることです。まずはCVに近いコンテンツをある程度作り、そのコンテンツへ遷移させるための施策を考えると良いです。
今期からEC担当をしています。アクセス数がある商品ページでもなかなかCVしないのですが、改善のためにはどのような軸でデータ分析すればよいですか?
荒井:
商品ページの文言、タイトル、内容が一致しているかという基本的なところをチェックします。またECサイトでは、個人情報の入力フォームや、商品をカートに入れるまでの導線も重要です。ヒートマップを導入して、ユーザーがどの段階で離脱しているかを把握し、改善するとよいです。
金:
アクセス数がある商品ページなのになかなかCVしない場合、弊社ではユーザーのインサイトを見ます。インサイトとは、ユーザーが特定のページにアクセスする前にどんなページを閲覧しているか、どんなキーワードで流入しているか、流入する前にはどんなキーワードで検索しているか、などの情報です。
弊社は、Yahoo! のDS.INSIGHTというデータ分析ツールを使用しています。入力フォーム、導線、コピーライティングなど改善の手法は山ほどありますが、まずユーザーのニーズを把握し、反応を予測することが大切です。
人材サービス企業です。他社と差別化できるコンテンツを作るのが難しい業界ですが、どのようにして自社の強みを活かしたコンテンツを作成すればよいでしょうか?
荒井:
どのような業界・企業でも、必ず独自性や強み、こだわりなどがあるはずです。例えばサイトエンジンでは、競合他社と比較して自社サービスの料金が少し高めですが、その理由は質の高さを担保することへのこだわりがあるからです。自社の強みだけではなく、こだわりも含めて考えてみると、自社にしか作れないコンテンツを発見できるチャンスは必ずあります。
デザイナーです。デザイナーを選ぶ際の軸や、参考にしている点を教えてください。
金:
マーケティングの意図を把握できるデザイナーは強いです。広告の中の文言の位置、デザインの配置について、理由をすべて説明できる状態が理想的です。
私はディレクターという立場で社内・社外のデザイナーへ指示をすることがありますが、単にオブジェクトとしてデザインされている広告が多々あり、本末転倒であると感じます。何らかのメッセージをユーザーに伝えるために広告は存在するということを意識してほしいと思います。デザイナーには、マーケティングの知識と視点を身につけることをおすすめします。
データ分析の方法を学ぶには、どう勉強すればよいでしょうか?
荒井:
本やサイトでの勉強はもちろんですが、チャットGPTも、ヒートマップなどのデータ解析ツールも、まず使ってみることが大切です。私はかなり頻繁に様々なツールを試し、社内で共有して、有料版を使うかどうかを検討しています。
金:
私は元々コピーライティングからマーケの世界に入ったので「人がなぜものを買ってしまうのか」「どういうときに欲しくなるのか」という、人間の根本的な原理原則が書いてある本を読みました。そのような知識にプラスしてテクニックを身につければ、ECサイト・LP・コンテンツマーケティング・セールスレターなど、どんな分野でも通用すると思います。
チャットGPTがクリエイティブの仕事を奪うのではと思っています。登壇者のお二人はどうお考えですか。
金:
私は「AIと”マブダチ”になる」と決め、共存していくつもりでいます。
AIにも「コピーライティングの仕事は今後どうなるか」という質問をしてみたことがありますが、「クリエイティブな領域は人間の仕事です」と答えていましたし、私もそう思います。業務が代替される部分とされない部分があると思います。
私は実際にチャットGPTを使ってコピーライティングを行っています。例えば「”簡単”という言葉を違う言葉に言い換えてください」と聞くと、10個ほど案を出してくれるのでとても便利です。
荒井:
AIに作成させた文章で大量にコンテンツを作ることも可能です。しかしAIの生成した文章には、誤った記述が含まれていることがあるため、アシスタント的な使い方がよいと考えています。
AIは、100点満点で大体60-90点の内容を即座に返すことができます。ベストプラクティスには及ばなくても、それに近いものが早く仕入れられる点はメリットです。そのため、Web上にある文章を切り貼りしてコンテンツを作成するような仕事はAIに代替されるかもしれません。
今後、AIの文章がWeb上にあふれていくと考えられますが、その中では、現場に足を運ばないと得られない情報(一次情報)が付加価値となります。インタビュー記事や導入事例記事など、独自性の高いコンテンツを公開することが重要です。
まとめ
Webサイトからリード獲得するためにはコンテンツを活用して、サービスや会社への興味を増幅させていくことが重要です。まずは「自社にしか作れない、独自性の高いコンテンツ」を充実させ、改善とセットで継続していくことが、コンテンツマーケティング成功の鍵となるでしょう。
またLPや広告のキャッチコピーを作る際には、数字の分析だけでなく、その先の人間の心理や潜在的なニーズまでを把握することが大切です。企業の強みをアピールすることはもちろん重要ですが、「ユーザーが何を求めているか」という視点を忘れないことが大切です。
サイトエンジンでは今回のセミナーの他にも、デジタルマーケティングに関する無料セミナーを平日ほぼ毎日開催しております。ぜひご参加ください。