2022年12月1日、サイトエンジン株式会社とテクロ株式会社はセミナーを共催し、「コンテンツマーケティングで成果を出す方法」について、事例を交えて紹介しました。本セミナーの参加者からは「どんなコンテンツを作成すればいいかよく分かった」「事例解説が丁寧で非常に分かりやすかった」と好評をいただきました。
本記事ではセミナーの内容をレポートします。当日行われた質疑応答の内容も掲載していますので、参加できなかった方はぜひご覧ください。
登壇者紹介
テクロ株式会社 代表取締役 天野 中登(あまの ひさと)
テクロ株式会社CEO。⼤学在学中に起業し、留学メディア「交換留学ドットコム」を運営した。その後、コンテンツマーケティングの知⾒を活かして、Webマーケティングの顧問事業を開始。BtoBマーケティングを中心にSEO・MAツールに詳しい。
テクロ株式会社について
BtoB・DtoC企業向けに、Webマーケティング/DX導入を伴走支援している。オウンドメディアの運用・コンテンツマーケティングを中心にオンラインからの見込み客獲得を支援する「伴走型ウェブマーケティング」は累計40社近くのBtoB・DtoC企業に導入され、同サービスにおける6か月以上の継続利用率は87.5%を記録している。社内プロジェクトマネージャーが顧客のウェブチームと二人三脚でウェブマーケティングの課題に取り組む。
サイトエンジン株式会社 Webマーケター 荒井 皓平(あらい こうへい)
オウンドメディア構築・運営とコンテンツ制作を経験しサイトエンジンに入社。コンテンツ制作やディレクション、SNS運用など、コンテンツマーケティングに幅広く携わる。 現在は月に20回のセミナー運営と約10回の登壇をして、データに基づいた科学的アプローチで集客や売上アップにつなげるデジタルマーケティングを広めている。
サイトエンジン株式会社について
「自己表現にテクノロジーとアイデアを」という経営理念に基づき、あらゆる企業のコンテンツ制作・デジタルマーケティングに関するコンサルティングを行う。そのノウハウの蓄積を活かし、2021年よりデジタル人材の採用見極めや教育支援のためのSaaSを提供スタートした。お客様企業が将来内製化できるように支援しつつ、月間800~1,000記事ものコンテンツ制作や分析を行っている。
第1部:BtoB企業のコンテンツマーケティングの成功の秘訣(テクロ株式会社)
テクロ株式会社 天野(以下、天野):私からはBtoB企業のコンテンツマーケティングの事例を交え、成功の秘訣をお伝えします。まずは成功事例を紹介します。
事例紹介:サムシングファン様(映像制作会社)
天野:弊社が支援した企業の事例を紹介します。
この企業では、導入前には社内リソースが乏しく、マーケ担当者がほぼいない状態でした。また、既存のマーケティングコンサル会社では結果が出ていませんでした。また、施策が展示会などのオフラインに偏っているという問題がありました。
そこで弊社は以下の3つの施策を実施しました。
月15本の記事を作成
天野:まず、コンバージョンにつながりやすい(事業の内容に近い)キーワードで上位表示されるような記事を公開しました。読み物コンテンツは集客には寄与しません。
サイトに訪れる方を増やすには、検索、広告、メルマガの3択です。コンテンツを投稿するだけではなく、コンテンツ内に何かしら導線を引く必要があります。
サービスごとにホワイトペーパーを作成
天野:次に、サービスごとにホワイトペーパーを作成しました。上の図にあるのは自社のホワイトペーパーです。キーワードで検索すると記事が出てきて、そこからホワイトペーパーをダウンロードできる仕組みです。
Webサイトの改善
天野:Googleは重いサイトを嫌う傾向があります。サイトスピードの改善や、エンジニアリングパートナーと協力してのエラー修正のほか、悪意のあるリンクの否認作業を行いました。
結果
以上のような施策が功を奏し、PV数80倍、資料ダウンロード数168件/月を達成できました。そのような結果を出せたことで、他部署の理解と協力を得られ、さらに施策が打ちやすくなりました。
コンテンツマーケティングのよくある失敗原因と対応策
天野:
コンテンツマーケティングによくある失敗と、対応策を紹介します。
なぜやるのかが明確になっていない
コンテンツマーケティングは、Web広告のような即効性がある施策ではありません。やる理由を明確にし、長期的に取り組む必要があります。外注を行う際には、投資期間が6か月~1年半と長めであることを認識してください。
かかる工数が社内に理解されていない
コンテンツマーケティングは、意外と工数がかかるものです。プロの場合でも1か月あたり10営業日分、1か月に0.5人分の工数がかかります。そのため内製化はあまりおすすめできませんが、もし社内でやる場合は、工数を調整してからスタートするのがおすすめです。
PVが伸びない
天野:PVが伸びない主な原因は、「記事数が足りていない・更新頻度が低い」「キーワードが適切でない」「記事の校正・サイト構造が正しく設定されていない」の3点です。この3点がすべて揃っていると大抵うまくいきません。記事数としては月間10記事、文字数としては記事1本あたり4,000~20,000文字が目安です。
また、キーワード検索で1-3位が取れていない場合はキーワードが適切ではありません。加えて、サイトの技術的な部分がうまく設定されていないと、PVが伸び悩むことがあります。
PVがあるのにCVが取れない
天野:検索上位表示できていても、CVが取れるキーワードであるとは限らないので注意が必要です。また、CVまでの導線をしっかり配置することも重要です。
補足:キーワード戦略を立てる
天野:CVしやすいキーワードと、CVしにくいキーワードのコンテンツをバランスよく作っていくことも大切です。
「コンテンツマーケティング 会社」など、CVに強いキーワードで検索するユーザーは、「発注したい」という検索意図を持っています。一方、「デジタルマーケティング 事例」など、CVに弱いキーワードで検索するユーザーは、事例やノウハウを知りたいという検索意図を持っています。
流入のあるキーワードで、ホワイトペーパーなどお役立ち資料を作成するのも有効です。
伴走型Webマーケティングサービスのご紹介
天野:弊社のWebマーケティング代行サービスは、品質・価格ともに優れています。
既にオウンドメディアを運用しているが結果が出ない、社内リソースが足りない、失敗したくないという企業様におすすめできます。
運用工数の削減、リード増加、知見の蓄積ができることから、3年間で40社以上のBtoB企業様に選ばれています。ぜひご検討ください。
伴走型Webマーケティングサービスへのお問い合わせはこちら>>>テクロ株式会社
第2部:Webサイトからお問い合わせをしてもらうためのコンテンツ作成方法(サイトエンジン株式会社)
サイトエンジン 荒井(以下、荒井):弊社からは、コンテンツの具体的な作成方法と活用方法をお伝えします。
お問い合わせ獲得までの流れ
荒井:お問い合わせをしてもらうまでには、下図のようなプロセスがあります。
まず始めに、SEOやMEO※施策、広告でユーザーに訪問してもらいます。
Webサイトには興味を増幅させるようなコンテンツを公開し、入力フォームから個人情報を入力してもらうという流れです。
サイトエンジンからは、赤枠の「SEO」と「コンテンツ」の部分をお話しします。
※MEO:Map Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略。地図検索での上位表示を目指す施策。
コンバージョン獲得までの導線の一例として、弊社のオウンドメディア「コンテンツ制作ブログ」の構成を紹介します。
このブログでは、コンテンツマーケティングのノウハウ記事を公開しています。
記事内の項目としては、上から順に「記事を読んで分かること」「目次」「本文」「まとめ」があり、最下部に、詳しく知りたい方へ向けたお問い合わせフォームが設置してあります。
このほかに、サイドバーやヘッダーのところにバナーを設置するパターンや、ポップアップを出すパターンもあります。
BtoB企業にコンテンツマーケティングがおすすめな理由
荒井:BtoB企業が扱うサービスは高単価であることが多く、顧客の意思決定には時間がかかります。稟議・比較検討期間にコンテンツを発信することでしっかりとアピールできます。
他社との違いや自社の強みを伝えやすいことも、コンテンツマーケティングをおすすめする理由の一つです。
どんなコンテンツから作成・改善するべきか?
3つの軸で考える
荒井:CVを獲得しやすく、かつ、自社の強みと合致しているコンテンツを優先して作成・改善を行っていきます。
競合他社も自社と同じようなキーワードで集客しています。自社の強みと合致しているコンテンツを強化することで、他社と差別化できます。
自社にしか作れないコンテンツとは?
荒井:自社の強みと合致している(自社にしか作れない)コンテンツの例を下図に示しました。
特におすすめなのは、お客様からよく聞かれることを書くことです。一定のニーズがあることが明らかで、自社の情報を入れやすいからです。
一次情報を取りにいく姿勢も重要です。独自のアンケート調査結果を公開したり、ユーザーが回答していくことで結果が出るような診断コンテンツを作ったりすることも有効です。
弊社のお客様から寄せられる質問には以下のようなものがあります。
時間が経っても価値が下がりにくいコンテンツを優先する
荒井:第1部で登壇された天野さんと同じく、「CVに貢献するコンテンツ」と「集客に貢献するコンテンツ」では、CVに貢献するコンテンツから優先して作成するのをおすすめします。
ストック(時間が経っても価値が下がりにくい)コンテンツと、フロー(時事性が高い)コンテンツでは、ストックのコンテンツを優先するのがおすすめです。
中長期のコンテンツマーケティングで重要なこと
継続的なコンテンツの改善・投稿
荒井:コンテンツマーケティングは中長期的に行わないと成果を出すことはできません。目標設定、コンテンツ作成、効果測定、改善のサイクルを回すことが重要です。
コンテンツ作成を外注した場合によく起こる失敗として、投稿した後に何も改善を加えず、時間とともに効果が薄くなるということがあります。ユーザーの反応を見ながら調整していくことが、コンテンツマーケティング成功のポイントです。
コンテンツの横展開
荒井:テキストベースのコンテンツ(記事)を投稿したら、要約してSNSに投稿したり、ホワイトペーパーにしたり、拡張・加工してYouTubeに投稿したり、セミナー資料として活用したりと横展開を行うことで流入の経路を増やせます。最近ではYouTube動画が検索上位に表示されることも多々あるので、SEOにも効果的です。
上記は弊社がコンテンツ記事をホワイトペーパーに展開した例です。こちらの記事はユーザーに人気だったので、内容をさらに充実させ、ホワイトペーパーにしました。ホワイトペーパーにした後も好評で、多数ダウンロードいただきました。
こちらはコンテンツ記事を要約し、メルマガの文章として活用した例です。
記事へのリンクを入れて配信したところ、開封率やメディアへの遷移率も良かったです。
コンテンツの横展開については、弊社がすべてお手伝いできます。興味のある方はぜひ弊社までお問い合わせください。
Q&A
紙媒体の読み物とWebコンテンツの相違点は?
天野:Webコンテンツはただ読み物として書くだけではなく、SEOを意識しないと効果が出にくいという特徴があります。
ホワイトペーパーは内製と外製どちらが良いですか。
天野:社内に監修できるマーケ担当者やデザイナーがいれば内製化しても問題ありません。しかし、ホワイトペーパーは十数ページにわたることが多いので、かなり工数がかかります。マーケ担当者が他業務で忙しい場合は、外注がおすすめです。
バナーや資料ダウンロードなど、導線のセオリーはありますか?
天野:サイトによってレイアウトが異なるので一口には言えませんが、バナーには、資料請求ページに直接遷移させるパターンと、LPに遷移させるパターンがあります。
記事の更新(リライト)は、どのくらいの頻度で行うのが理想的ですか?
検索上位表示される記事が100~200記事ある場合は、3~6か月に1回更新すると良いです。記事数が100以下の場合は、月10本以上を目安に新規記事を追加していくのが理想です。
まとめ
コンテンツマーケティングで成果を出す秘訣について、両登壇者の内容に共通していたのは、「中長期的な取り組みが重要」という点です。また、コンテンツマーケティングを内製化する場合は相当の工数がかかります。コンテンツマーケティングを行う理由を明確にし、社内の理解を得られてからスタートすることをおすすめします。
実際にコンテンツのネタを考える際には、「CVが獲得できるか」ということに加え、「自社にしか作れないコンテンツであるか」を意識するのもポイントです。作ったコンテンツは多方面に展開するとより効果的であることもお伝えしました。
今回の内容を参考に、ぜひコンテンツマーケティングに取り組んでみてください。
サイトエンジンでは今回のセミナーのほかにも、デジタルマーケティングに関する無料セミナーを平日ほぼ毎日開催しております。ぜひご参加ください。