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イノベーター理論、キャズムから新規事業のコンテンツマーケティングを考える

2022年9月12日

経営やマーケティングの理論・フレームワークなどからコンテンツマーケティングを考える連載記事です。

イノベーター理論とは?

イノベーター理論は、新製品が世の中に普及していく一般的な過程を示したものです。以下の図のように、顧客をイノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、ラガードに分類して、普及ペースや伸びの勢いなどを説明している理論です。

自社の製品がどの段階に属しているのかを考えることで、経営やマーケティングの参考にすることができます。

キャズムとは、アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間にある溝のことで、初期市場(イノベーターとアーリアダプター)からメインストリーム市場(アーリーマジョリティー以降)に移るには、異なる行動特性や嗜好を持つ顧客を対象に普及させる方法を考えなくてはいけないことを示しています。

新製品は市場を創出しているか、既存の類似サービスがたくさんあるか?

自社製品と類似するものがなく、新しく市場を開拓している場合

もしあなたが革新的な製品を開発して、これから世の中に広めるとすれば、それは誰も知らない製品ということになります。

新しい誰も手をつけていない市場を創出する場合、ユーザーはインターネット上でそれを探していません。たとえば、スマホが1台もなくて、全員がガラケーを使っていた時代に、スマホに近い機能を持つ端末を探している人はほとんどいなかったはずです。

新しい概念つまり商品カテゴリを世の中に生み出していく過程では、受動的に情報を取得している人向けのコンテンツを作り、既存のメディアに掲載して認知を獲得する必要があります。イノベーターやアーリーアダプターは新しい製品を自ら探して、使い方を自ら考えながら導入してくれます。そのため、製品コンセプトの説明だけでも一部の狭い層には売れるのです。

一方で、アーリーマジョリティー以降にも購入してもらうためには異なるアプローチが必要です。わかりやすくシンプルなコンテンツで製品導入のメリットを伝える必要があります。マスメディアのCM、最近だとタクシー広告などに代表される動画は、製品メリットをわかりやすく伝えている例です。

また、広報活動でマスコミに取り上げてもらい、市場の認知を上げていくことも必要です。社会に問題提議をして、多くの人に自分ごととして関心を持ってもらうためには、自社経由で発信するだけでは不十分です。そのため、想定ユーザー企業に現状の問題点についてアンケートをとって、そのデータをプレスリリースとして発信する、既存の業界団体などに働きかけて新しい問題提起をしてそれを話題にさせるなど、自社製品のアピール以外の情報発信をコンテンツにしていきます。

SEOなどの能動的に情報を探しているユーザーを集客する手法は、基本的に革新的な製品には向いていません。ただ、代替手段についてのコンテンツを作ることで多少は集客を期待できます。たとえば、ガラケーとパソコンで情報を上手く連携させる方法などの、ガラケーをより便利に使うための方法であれば調べている人がいるかもしれません。もしあなたが世界ではじめてのスマホを開発したとして、もちろん一部のイノベーター向けにスマホを説明するコンテンツを制作すれば、多少は見られるかもしれません。でもほとんどの人が概念や仕組みを知らないわけで、そもそも情報を探すきっかけがありません。

ただし、製品カテゴリ名が普及する前に、そのカテゴリ名と自社ブランド名では確実に上位に含まれるようにしておかないと、自社が概念を広めたところに他社がタダ乗りして集客されてしまうことになります。そのため、最低限のSEOは意識してコンテンツを用意しておくことをおすすめします。

類似製品が多数存在する場合(ほとんどこちらに当てはまります)

類似製品が多数存在している場合、あなたの製品と同じカテゴリに属している製品の情報を探している人たちがたくさんいます。そのため、能動的に情報を探す人向けのSEOなどの施策も使えるようになります。

製品がどのようなポイントで比較されているのかを把握して、それぞれの基準について説明するコンテンツを作るのがよいです。製品で解決できる顧客の課題を一覧にして、それについて製品がどう役に立つのかをまとめていくのもよいでしょう。

伸び続けていてまだ競合が増え続けているタイミングなのか、成熟してもうマーケットが縮小し始めているタイミングなのかによってもコンテンツマーケティングの方法は変わるはずです。伸び続けているマーケットの場合、新しい顧客の課題やユースケースが見つかり続けるため、製品購入に近い人たちが興味を持ちそうなコンテンツを制作し続けることができます。一方で、成熟して市場規模が縮小に入る前くらいで、そうした製品購入に近いコンテンツは飽和しはじめます。製品との関連性の低いコンテンツも含めて様々なコンテンツで集客をして、リードを獲得して、関係性を構築する中で製品の魅力に気が付いてもらうといった間接的なアプローチをせざるを得ない会社が増えてきます。

あまりにも多くの会社が同じようなテーマでコンテンツを作るので、顧客からするとどこも変わらないように見えてしまう状態に陥ります。そのため、マーケットが成熟するほど、特定の業界業種、課題など狭い範囲にフォーカスしてそこに向けてコンテンツを制作する工夫が必要になってきます。

たとえば、ホームページ制作会社を例に考えてみると、最初市場が生まれたタイミングではどんなサイトでも作りますという会社が多かったでしょう。なぜなら需要に対して供給が少ない状態だったので、別に絞らなくても選んでもらえるからです。一方で、今ではホームページ制作会社はあまりにもたくさんありすぎて、その中で仕事をもらうには何かしら特化しなくてはいけません。実際に、歯科医向け専門、不動産業界専門など特定の業界に特化したホームページ制作会社や、BtoB向けに限定した制作会社など絞り込みするところは増えています。

段階ごとに適したコンテンツは?

ちょっとコンテンツマーケティングに限った話ではなく、経営やマーケティングに近い話になってしまったので、話をもとに戻します。自社製品がどの段階にいるか、状況によって提供するコンテンツを変えていくことが大切という話でした。

以下は参考までに成約と集客を横軸に、ストックとフローを縦軸に置いたグラフです。

ストックとは情報の価値が維持されやすいコンテンツ、フローは時事性が高く時間の経過とともに価値が下がっていく性質のコンテンツです。

このマトリックスに、イノベーター理論のグラフを兼ねると、ちょうどどのタイミングでどういったコンテンツを制作すればよいかの図になります。

まったく類似製品のない新規性の高いもののマーケティングを考えるときには、以下番号のとおりの順番で考えます。

①の成約に貢献しつつフロー情報であるコンテンツから入り、普及にしたがって作るコンテンツの重み付けを変えていき、最後には④のフロー・集客に貢献の象限に到達します。

一方、すでに類似の製品が存在している市場でのコンテンツマーケティングを考えるときには、以下のような順番になります。革新性の高い一部の製品以外、つまりほとんどの製品がこちらに該当します。

みなさんも自社製品がどの象限にいるかを考えて、制作するコンテンツの優先順位を決めてみてください。

サイトエンジンでは、コンテンツマーケティングの戦略立案や実行支援をしています。PMF前の新規事業でコンテンツマーケティングに取り組もうと考えている方はぜひご相談ください。ペルソナやカスタマージャーニーの作成から、コンテンツの企画、原稿執筆まで幅広く対応します。

コンテンツマーケティング代行│コンサルティング・コンテンツ企画制作

毛塚 智彦

この記事を書いた人

毛塚 智彦

2006年からデジタルマーケティングを開始し、2008年にサイトエンジンを創業しました。 SEO、コンテンツマーケティングが得意です。立ち上げた直後のメディアから、数千万PVあるようなポータルサイト・ECサイトまで、幅広く関与してきました。 業務ではマニュアル作成などの仕組みづくり、事業立ち上げ、採用などを担当しています。 Twitter

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