この記事の対象読者と学べること
- デジタルマーケティングをこれから始める人
- 事業会社にいてずっと1つのビジネスのためにデジタルマーケティングをしていたが、複数社のコンサルティングをする立場に変わった人
を対象に、サイトやビジネスモデルごとのコンバージョンの違い、どんな種類があるのかを説明します。これを読むことで、SEOや広告などのデジタルマーケティングの手法選択や、運用方法の改善に活かしていただくことを想定しています。
サイトエンジンではBtoBサイト制作を承ります。顧客の状況ごとにどのような情報があると喜ばれるのかを考えて、それぞれに向けてコンテンツを設計、制作いたします。
BtoBサイト制作代行サービス
コンバージョンとは?
デジタルマーケティングの用語として使われるコンバージョンとは、サイトでの成果のことです。サイトの種類によって、購入、申込み、会員登録、資料請求、お問い合わせなどさまざまな種類の行動がコンバージョンとして設定されます。
英語表記のConversionから、略してCVと書かれることがあります。
サイトに訪問してきた人のうちコンバージョンに到達する人の率をコンバージョン率(Conversion Rate / CVR)といいます。CVRの表記はよく使われますので、ぜひ覚えておいてください。
コンバージョンの種類ごとの違いを説明します。
サイトでのコンバージョンがすべて売上になるサイトとそうではないサイトがある
Amazonや楽天のようなECサイトの場合、サイトでのコンバージョンは売上に直結します。一方で、不動産会社のサイトでの物件の問い合わせや、車のディーラーの試乗予約などのコンバージョンはそれが発生したからといって、売上になるとは限りません。なぜなら、マンションを見学したり、車の試乗をしたとしてもすべての人が購入するわけではないからです。
多くのBtoBのサイトも同様に、問い合わせや資料請求をされたからといって必ず売上になるわけではありません。見込み客の個人情報をリードといいます。
コンバージョンが発生したあとに営業マンがお客様に個別に説明し、受注してからはじめて売上になるビジネスの場合、コンバージョンしたあとの契約率や客単価・利益など、総合的に見てやることを考えなくてはいけません。
たとえば、A:資料請求が100件あったものの1件も契約が取れていない広告と、B:10件しか資料請求がなかったもののいくつかの契約が取れた広告では、Bのほうが圧倒的に優れているわけですが、もし資料請求あたりの広告費だけを見てしまえばAのほうがよく見えてしまいます。これは単純化している例なのでわかりやすいですが、資料請求後にいくつもステップがある、すべての見込み客に対して同じ営業マンが説明するわけではないなど、さまざまな要因が重なると、どんどんデータを比較するのが難しくなっていきます。
サイトのコンバージョンが売上に直結しないときには、SFA(セールスフォースオートメーション Salesforceなど営業担当者が販売管理をするためのシステム)など、ほかのデータとの紐付けが必要となります。
検討期間が異なる
ECサイトのユーザーには最初にページを見て衝動買いしてしまう人もいれば、一度サイトを離れてほかの商品と比較したり、ほかのサイトで同じ商品がより安く売られていないか探してから、サイトに戻ってきて購入する人もいます。
さらに、一度検討するのをやめて、数ヶ月してから思い出して、サイトの名前で検索して探し直して買う人もいます。
同じECサイトの商品購入というコンバージョンでも、取り扱っている商品によって、検討にかかる期間が異なります。安いものほどすぐ決めて、高いものもほど検討期間が長くなる傾向はあるものの、一概に言えません。人は商品を買うことで、何らかの悩み・課題を解決するわけですが、その悩みや課題の深さや緊急性によって検討期間は変わります。
参考: キーワードごとの購買意欲の大きさを知り、SEOの優先順位決めに活かす
コンバージョンあたりの価値が異なる
ビジネスによってコンバージョンあたりの価値は大きく異なります。ここでいう価値は初回の購入だけではなくライフタイムバリュー(LTV、顧客生涯価値とも書く)です。ライフタイムバリューとは、平均のリピート率、頻度、累計回数などのデータから、顧客1人あたりの平均利益を計算したものです。
お問い合わせや資料請求のような売上につながるかが確定していないコンバージョンの場合には、契約が取れる率に基づいて割り引いて計算しなくてはいけません。
たとえば、資料請求した5人に1人が契約に至るサービスを提供していて、顧客1人あたりのライフタイムバリューが100万円の場合、1コンバージョンあたりの価値は20万円となります。ここでいうライフタイムバリューは、営業担当者、サービス提供者、バックオフィス担当者などのすべての人の人件費を差し引いた状態での利益です。
その20万円の価値のなかで、SEOや広告費にいくら使うか目標獲得単価(CPA: Cost Per Acquisition)を決めます。たとえば、半分の10万円まで使って良いとなれば、どの集客手段でも目標獲得単価が10万円を下回っている限りは、予算を増やし続けたほうがよいことになります。正確にいうと、在庫数や物流、サービスを提供する人員の体制などどんなビジネスにも受注後の受け入れキャパシティがありますので、その上限以内であれば予算を増やせます。
コンバージョンの種類によって何が変わるのか
では、コンバージョンが売上に直結する・しない、検討期間が長い・短い、コンバージョンあたりの価値の大小など、コンバージョンの種類によってどうSEOの施策は変わるのでしょうか。
集客対象が変わる
いますぐ買いたいと思ってる人と、将来的に買うかもしれない人で、集客するときに狙うべき検索語句は変わります。ECサイトのようなコンバージョンがすぐ売上になり、コンバージョンあたりの価値もそれほど大きくないサイトの場合、いますぐ買う可能性の高い人たちをターゲットにすることが多いです。一方で、BtoBの1件あたりの単価が非常に大きなサービスの問い合わせを受けるのであれば、まだしばらくは買わないであろう人たちも対象にしやすいです。なぜかというと、コンバージョンあたりの価値が非常に高くなるため、興味が薄い人も含めて広く集客して、その人たちと継続的にコミュニケーションを取ることで、購入する人を探していくプロセスの採算があうからです。
また、単価が高いビジネスほど、月間検索回数が少ないニッチなキーワードに向けたコンテンツを制作しやすいです。なぜかというと、毎月少数の人しか見てくれなかったとしても、そのうちの1人でも連絡してくれるなら、費用対効果があうからです。
伝えるべき情報が変わる
集客対象が変わると伝えるべき情報も変わります。商品やサービスの紹介を中心にする、一般的なノウハウをまとめたコラムなどを多数掲載していくなど、方針が変わります。
興味の薄い人も含めて集客する場合、商品の紹介以外の情報を含める必要があります。買うかもしれない人は、いますぐ買いたいと思っている人よりも多いからです。
費用対効果を計測する期間が変わる
いますぐ買いたい人を中心に集客していて、かつコンバージョンが売上に直結しているサイトの場合、SEOや広告施策の費用対効果は短期間で出すことができます。一方で、顧客の検討期間が長い商材の場合、それにあわせて費用対効果を計測する期間を調節します。
お問い合わせから導入まで平均で6ヶ月かかる大企業向けのサービスを売るためのサイトなら、施策の費用対効果は6ヶ月以上の期間で計測します。今月獲得したお問い合わせが売上につながるのはずっと先なのに、今月中に費用対効果を計算することはできないためです。
コンバージョン後に提供すべき情報量が変わる
お問い合わせ、資料請求などすぐ売上にならないコンバージョンの場合、契約を獲得するための追加の情報を提供することになります。導入事例や効果のシミュレーションなど、コンバージョンのあとに営業担当から追加のコンテンツを送ることで、コンバージョンから契約に至る率を改善することができます。資料請求してもらったあとに、資料の送付だけして、その後何もアプローチしなければ、多くの人がそこで離脱してしまいます。メール、電話、打ち合わせなどで追加の説明をしたほうが契約してもらえる率が上がるのは間違いないです。
これはWebサイトでの施策と関係のない部分に思えるかもしれませんが、連動させて考えたほうがよいです。営業が持参して上手くいった情報は、Webサイトにも掲載しておいたほうがよいですし、逆にWebサイトでよく見られている情報は営業のときにすぐに見せられるようにしておくとよいでしょう。
顧客が次のステップに行くための後押しになる情報を考えて用意することが大切です。
コンバージョン率を上げるための方法を以下にまとめていますので、あわせて参考にしてください。
コンバージョン率(CVR)を上げる62の方法 フォーム誘導率と完了率を改善
すぐに実践するための課題
- あなたのサイトが現状採用していないコンバージョンを増やす余地があるか、削除したほうがよいコンバージョンはないかを考えて、実行してください。
- サイトへの集客からコンバージョン獲得、その後の売上に到達するまでの一連のステップを分割して、それぞれで次のステップに誘導できている率を計算してください。もっとも改善の余地が大きな箇所を見つけたら、そこを改善するための案を書き出して実践してみましょう。
- コンバージョンを複数用意している方は、種類ごとにそれを増やすにはどのようなコンテンツが適しているかを考えて制作してください。
理解を深めるための質問
- BtoBであっても、メルマガ登録やホワイトペーパーダウンロードなどのリード獲得のコンバージョンを増やすことが必ずしも正しくはありません。どんなときにリード獲得手段を増やさないほうがよいでしょうか。
- 目標獲得単価(CPA)を低く設定して、常に低い水準のCPAを維持することが必ずしも良いとは限りません。それはなぜでしょうか。
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