BtoBマーケティングでは、マーケティングと営業の部門間調整がよく話題にあがります。
「どんなリードを獲得するか」というよく話題にあがり考える機会が多いテーマについてご紹介します。リード数だけを目標にしてコンバージョンポイントを増やすと、コストだけが増えて契約数や売上につながらない可能性があるという話です。
リード数増加が売上や契約数につながらない理由
マーケティングとしては、リードを増やすことに目が向きがちなのですが、営業の動きを見ながら増やさないと、集める意味がなくなってしまうことがあります。
たとえば、ホワイトペーパーのダウンロードは営業の時間にある程度余裕がある状態で集めなければ、誰も連絡せずにただメルマガを送るだけのハウスリストの中に入れられて終わりになってしまうことがあります。確度の高い問い合わせへの対応や商談で忙しいので、対応できなくなってしまうのです。
一方で、特に商談などは入っておらず、新規のテレアポなどをしているような状態であれば、ホワイトペーパーをダウンロードしただけのリードを集める価値があります。社名、担当者名、部署などがわかっているリストであれば、完全に新規で代表電話などに連絡するのと比べればはるかに効率がよいでしょう。
つまり、マーケティングと営業のキャパシティのどちらがボトルネックになっているかによってコンバージョンポイントの増やし方が変わってきます。
逆に営業ではなくマーケティングがボトルネックになっていることで、質の高い問い合わせは増やせず、ホワイトペーパーなどで数を増やさざるを得ないという状態になっている場合もあります。そのため、マーケティングはリード数だけを目標として追うのではなく、リード経由の受注数や売上金額も目標として追うようにします。
対応のキャパシティは時間ではなく、担当者のスキルも考慮
ボトルネックがどちらの部署にあるかによって適切なマーケティング手法は変わってくるわけですが、ボトルネックは単純に業務量(=想定される稼働時間)だけではありません。新しい売り方を考えることができる人(能力)の有無、新規の商談の進め方を考える部分もボトルネックになりえます。
いままで受注に近い具体的な問い合わせだけに対応していた営業担当が、ホワイトペーパーのダウンロードやウェビナーの参加などをしていたリードにあたってもまったく売れない状態になることがあります。
お問い合わせ経由の商談の場合、はっきりしたお客様の課題や要望をいただけることが多く、ただそこに対して自社のサービスが合うか合わないかを商談と通じてすり合わせするだけで一定の確率で売れます。
一方で、ホワイトペーパーやウェビナー経由のリードでは、そもそもニーズを喚起するところから始めないといけません。何かしら能動的なアクションを取っていただいている、つまり興味はある方々なので、電話やメールなどで商談までは到達します。しかし具体的な要件が決まっているわけではないので、商談のときにお問い合わせ経由の商談と同じ話し方をするとまったく売れません。
新しい売り方を考える部分はマーケティングと営業のどちらに所属しているとか関係なく、できる人がやるくらいでちょうどよいと思います。ただし、組織としての動きやすさや現場感を持っている量を考えると営業に所属している人が考えたほうがスムーズです。経験や知識の有無により、必要に応じて営業以外の人が代わりに考えるべき部分です。
この部分の業務を「営業企画」「営業推進」などの形で組織化している会社もあります。ただ、事業がかなり進んで関与する人数が増えるまでは、営業と兼務にしたほうがよいと考えます。理由は営業として現場でお客様と頻繁に話す人以外が売り方を考えるようになると、現場感がない施策になりかねないからです。ある程度勝ちパターンが見えてきて、似たような営業方法のバリエーションを増やす程度であれば他の組織として独立させてもよいと思いますが、ゼロからイチを作るタイミングで分業すると上手くいかないような感覚があります。もしPMFより前でいきなり分業化されて上手くいっている方がいらっしゃればぜひお話を伺いたいです。